プロジェクトX 〜雲を突き抜け、天を目指せ〜

昔、むかし、人々は、
ある壮大な夢を描いたそうな。

彼らは、誰からもとなく、
こんなことを話しはじめた。

「さあ、わたしたちの街と塔を作ろう。塔の先が天に届くほどの。決して消え去ることのないように、我らのために名をあげよう」

そうして、全員が一致団結して、
どんどんどんどんと、レンガは
うずたかく積み上がっていき、
天高く伸びていった。

一生懸命に身を削って働く人、
ちょっとサボってズルする人、
全体を設計して、指示をする人、
頑張りすぎて、ケガしちゃう人、

いろんな人はいれども、
塔を立てる作業は順調に進んだ。

みんな、心の中で思った。

「これは、いける」

もう、塔のてっぺんは雲のなか。

誰も塔の完成を疑うものはいなかった。

しかし・・・

事件は、起こった。

「なるほど、彼らは一つの民で、同じ言葉を話している。この作業は彼らの行いの始まりだが、おそらくこのこともやり遂げられないこともないだろう。それなら、彼らの言葉を乱してやろうじゃないか。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」

なんと、神さまが
わがままを言い出したのだ。

そんなバナナ。

(おっと、取り乱して、変なことばを口走ってしまった)

そこから、ことばも、住む場所も、
散り散りバラバラにされてしまった。

彼らは街づくりをやめた。あきらめた。

その後、この街は、バベルと名付けられた。

さて、これが有名な、
『バベルの塔』の物語だ。

ぼくにとっては、神さまが塔を崩す話よりも、
人間が一致団結して、困難に立ち向かう姿に、
グッと心を持っていかれてしまった。

だって、極めて不可能に近いことに、
真正面から体当たりしていくのだから。

さらに、神さまを怒らせるということは、
脅威を感じさせるほど、ものすごかったとも言えて、
それってもしかすると、彼らの子孫としてのぼくらは、
案外誇らしいことなんじゃないかとも思えた。

いま、上野の東京都美術館で、
ブリューゲルの『バベルの塔展』
が開催されている。

バベルの塔は、もちろん素晴らしい。
(音声や動画の解説もなかなかに良い)

同時に、奇妙奇天烈なキャラクター、
いやモンスターたちもウヨウヨしている
作品もたくさん展示されていて、
どれだけ見ていても飽きないんだ、これが。

人は不可思議なものに心惹かれる。
(UFO、七不思議、心霊写真とかもね)

いい展示だった、です。
タラ夫も美術館で待っているよ。

今日もブログに来てくださり、
ありがとうございました。

同じバベルの塔を描いた人は、たくさんいた。
でも、ブリューゲルの作品が圧倒的に有名。

果たして、その差はなんなんだろうか?