期待されていないニーズ?

こんにちは。イサです。

先日関西、京都に行った時「イノダコーヒー」という老舗のコーヒー店の本店に立ち寄りました。

モーニングのボリュームが多い、ということで?京都では古くから慕われてきた喫茶店のようで、とても上品なお店の雰囲気でした。

ですが、個人的にとても印象的だったのは、上品な店内の雰囲気や、働いている人の対応の丁寧さ・・・よりも、その日はとても寒い日だったのですが、そのお店ののトイレの手洗いの水が、「お湯」だったことでした。蛇口をひねる取手に「お湯」と「水」の選択はなかったので、意図してお湯にしてあることになります。

なぜここが印象に残ったのか、というと、何も「あったかい」から「嬉しかった」、というわけではありません。

予想外の喜び!

この、トイレの手洗いの水をお湯にする、ということは、お客さまの「期待に答えよう」としていては出てこないサービスなんじゃないかな、と思ったからです。世の中にはそんな、期待以上のサービスをする企業や会社がたまにあります。

以前仕事でお話を伺う機会があった、長野県の「中央タクシー」さんも、そんな会社でした。長野中央タクシーさんは、なんと、1日のお客様の90%が電話での「予約客」という、驚きのタクシー会社です。なぜそんなことになっているのかというと、理由は複数あるのですが、その大きな理由の一つに「予想外の喜びを生み出す」というところがあるのかな、と思っています。

中央タクシーは、「サービスに限界はない」という言葉の元、お客さまが乗車されるときに「ドア開け」雨の日は「傘さし」をし、「自己紹介」をするなど、圧倒的な価格以上のサービスで熱烈な支持を集めるタクシー会社です。

どこまで圧倒的かと言えば、

ある時は、お客さまのため、運賃の価格を下げるために「タクシーチケットの廃止」という業界のタブーに挑戦し、ある時はお客さまのために、オリンピックの特需をキャンセルして通常営業を続け、ある時は車椅子のお客様の車椅子がタクシーに乗らないからといって、車椅子を分解して乗せて運び、また組み立てて病院に送り届けるも料金は「運賃のみ」に止める・・・と、ここまで言えば、その圧倒ぶりが伝わるでしょうか。

ここで思うのは、お客さんは「そこまで期待していなかった」だろうな、ということです。

限界を超えるもの

改めて、イノダコーヒーさんのトイレの水が「お湯」になっていたことに話を戻しますと、そんな風に思ったことがあるからこそ、そのとき「素晴らしい」と思いました。たかが、トイレの水程度で反応するのはいかがなものか、と思うかもしれませんが、笑

何も最新のオフィスで、備え付けの機能として、あらかじめお湯と水とが出るようになっている洗面台、というわけではなく、古びたクラシックな店内、古い施設を手入れし続けて使っていると思うのですが、そんな施設であるがゆえに、その中で、あえて、トイレの手洗いの水が、「お湯が出るように設定してある」という心遣いが感じられたところに、さすが老舗で人気のある喫茶店だな、と感じたわけです。

これを身近な例に変えるなら、お店や店舗内、もしくは敷地内に自販機を置いている会社や施設は多いと思いますが、それをお客さまのために「無料」にしていることと同じだと思っていただければ、その心遣いがいかに一歩踏み込んでいるのか、がお分かりいただけるでしょうか?

普通、自販機を無料にしよう、なんて考える会社や組織はないと思います。

なぜなら、自販機は有料で当たり前、とお客さまも思っているので不満も生まれませんし、そういうものだ、と思っているからわざわざ「無料にしよう」という考え自体が経営する側としても「思いつかない」からです。

ちなみに、中央タクシーの宇都宮会長は、経営を託されたホテルの中の自動販売機を「無料」にしている、とのことでした。

「信念」や「志」なんて腹の足しにもならんわ!?

これが思いつく理由があるとすれば、それはその業界、業種、商品やサービスに対して、「信念」があるからかな、と思いました。

信念があるからこそ、「こうしてあげたい」「こうあるべきなんだ」というこだわりが生まれ、その実現のために前例にとらわれない発想と行動がついて来る、ということなのではないかな、と思います。

自分は、時に「信念」とか「志」なんて持ったって何の腹に足しにもならんわ!なんて悪魔のささやきが耳元で聞こえることがありますが、そんな時はこんなようなことを思い出すようにしています、笑

もちろん、宏臣オフィスでのプロデュースでは、毎回いただくご相談に対しては、できる限りそんな発想でお手伝いしていきたいな、と思いますし、そんな設計を本当にできるかはともかくとして、念頭に置きながらすることこそが、自分らしく生きる、ライフワークを立てる、ということにつながっていくのではないかな、と考えています。

ついては、そんなライフワーク、事業、コンテンツの設計をそれぞれで実現していくために、皆で学び合い、実践をしあう場所を末吉がご用意しています。先週、装いも新たに「宏臣 編集会議」としてリニューアルオープンいたしましたので、もしピンと来た方は、是非一度お試しください。

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