【連載】第1回 人の心をつかむ著者の条件(話し手:箕輪厚介)

20万部超えの大ヒットを記録している『多動力』(堀江貴文著)をはじめ、『たった一人の熱狂』(見城徹著)、『新企画』(鈴木おさむ著)のなど数多くのヒット作を世に生み出した編集者・箕輪厚介氏。2017年7月に発売された『なぜ堀江貴文の本はすべてがベストセラーになるのか』(堀江貴文著)にも編集監修として参画している。本書の出版特別企画「ヒットメーカーに訊く!ベストセラーの作り方」と題して、そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの箕輪氏に、ベストセラーを作る秘訣を訊いた。

第1回 人の心をつかむ著者の条件

末吉
これまで数多くのベストセラー書籍を手がけてきた箕輪さんですが、「この人はいける!」という著者を見分けるポイントはありますか?

箕輪
異物感ですね。僕は水と油のように、かき混ぜてもかき混ぜても、世間と混ざらない人が好きなんです。世の中から浮いている人を見つけて、その何とも言えない異物感を、ストーリーに乗せて世に届けたい。異物感を持っている人が本を書くとオリジナルなものになります。

末吉
なるほど。確かに箕輪さんの周りには一味違う方が多いですよね。

箕輪
見城徹さん、堀江貴文さん、与沢氏…… 僕がこれまで一緒に仕事をした人はそれぞれ異物感を持ってますね。格闘家の青木真也さんもそう。彼は練習の後、皆でご飯に行こうっていう話が出ても「あ、失礼します」って一人だけ帰るんですよ。べつに何も予定無いのに(笑)。人と普通に関係性を持てない。そういうところがすごくいいなと思います。

末吉
箕輪さんが編集監修をされた「なぜ堀江貴文の本はすべてがベストセラーになるのか」では、本を書いたことがない人や、経験はあっても売れる本の作り方が分からないという人にベストセラーの作り方を指南しています。いわゆる“普通の人”にでも本は書けると思いますか?

箕輪
べつに字が書ければ誰だって本は書けますが、当たり前ですけど、普通の人が普通のこと書いて誰が買うのかって話ですね。恋人や親戚は読むだろうから数冊は売れるだろうけど、みたいな。

末吉
どこにでもいそうな人がありふれた本を書いても、興味を持つ人はいないということですね。

箕輪
わざわざ、お金を払ってコンテンツを買うってことは、まだ見たことないもの、したことない感情を味わいたいわけですからね。

末吉
異物になる…… 今まで平穏に暮らしてきた人にとってはハードルが高いですね。

箕輪
いや、そんなに難しく考える必要はありません。単純にノウハウとかでもいいんです。この世にまだ出てないもので、需要があるならば。たとえば、自分で編み出したすごい営業術を持っているとか。どこかで聞いた話ではない、オンリーワンの要素があれば、母数の差はあれど、買う人はいるでしょう。

末吉
ネットで検索できないノウハウですね。確かに需要はありそうです。

末吉
箕輪さんが本を作るときも、著者のオンリーワンな部分を引き出していくんですね。

箕輪
そうです。その人だけのオリジナルの部分を浮かび上がらせていきます。人には言えないトラウマや、複雑な生い立ちとかみたいなことでも、本を出すと決めたなら書かなくてはいけない。

末吉
読者が読みたいのもきっとその部分です。

箕輪
それを書かないなら、本として成立しません。すごいことをしている人なんて世間にはいっぱいいるんだから、すごい話ばっかり書いても正直つまらない。どこがオリジナルなのか、を常に考えます。

末吉
みなさんそういう核の部分を素直に出してくれますか?

箕輪
いや、なかなか難しいです。インタビュー時に本人が触れられたくない部分に踏み込みすぎて、険悪なムードになることはよくあります。アイドルやタレントが書き手の本でも、周りがタレントを守ろうという想いで、突っ込みすぎたインタビューを注意されることもあります。でも、僕はタレントではなく、読者のためにやってるので、いい本になるならば摩擦は仕方ないと思ってやってます。結局そうやって読者のために頑張ってれば、書き手との信頼も深まります。

末吉
多少の揉め事は覚悟の上で書いているんですね。

箕輪
そういう核に踏め込めずに当たり障りのない内容で作る本なら出さないほうがいい。そんな本を出したら、むしろ書き手から舐められます。

末吉
かっこいいですね。

箕輪
でも摩擦が起こった本は売れるんです。なんかトラブルを乗り越えるたびに、本に熱が乗る。

末吉
すごいなぁ。その“突っ込んでいくところ”が、箕輪さんの核だと思います。

箕輪
そうだね。突っ込んでいかないとね。意味ないから。

末吉
異物感や希少性を求めて、それを核として本を作っているのですね。

箕輪
たとえどんなに汚い石でも「世界にひとつしかない石です」って言われたら、「じゃあ、とりあえず持っとくか」って思うじゃないですか。でもそれが一万個あるなら欲しくない。そういう意味で、オンリーワンなコンテンツじゃないと意味が無いですよね。

(第2回:『電子書籍で「売れる著者」になるための戦略』に続く)

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【記事制作】
訊き手・編集:末吉宏臣
ライター:井上和子(https://twitter.com/minaminobambi)
制作協力:戸田成美