肩に、ポンと。

みなとみらいにある大っきな観覧車を眺めながら、ジーンとしている。ジーンとしているのは観覧車のせいじゃない。糸井重里さんの親父さんとの思い出話のせいだ。

数日前から、おもしろい企画がスタートした。糸井重里さんご本人が、生い立ちからコピーライター時代、ほぼ日スタートから現在までをたっぷり語る、全23回の長期連載だ。

『糸井重里が語る、生きること、働くこと』

糸井さんの息遣いが聞こえてくる。イトイ少年の姿が目の前に浮かび、心の内が伝染してくる。毎日毎日、次の日が待ち遠しくなってしまう。

また少し回り道になるが、この連載は一粒で二度おいしい企画。その理由は、この連載の聞き手、書き手を担当するのがライター古賀史健さんだからだ。編集者や書き手にとっては、その綴られた文章の素晴らしさはもちろんのこと、その背景にあるお二人がしゃべっている光景のを想像するだけでも何度も何度もおいしく味わえる。(糸井さんのこの一言に、たくさんのナニカが詰まっている気がする)

さて、ジーンとした話に戻ろう。NewsPicksさんの有料記事なので、ネタバレしないように注意しながら、少しだけ引用させてもらいたい。

今年ぼくは、父親の享年(68歳)に追いついたんです。つまりうちの父親の一生は、いまのぼくの年で終わっているんです。

そのせいもあってか、この1年くらいで急に父親のことを好きになりましたね。「ここまで生きたのか、ご苦労さんだったな」という思いもあるし、会えるものなら会って、いろいろ話して、聞いてみたいですよ。

「お父さん、たのしかった?」って。

中略・・・

きっと、誰も相談する相手もいないまま、なんでもひとりで解決しようとしていたんでしょうね。それでまたお酒を飲んで、ぼくらに迷惑をかけて。

あの父親にも「布団のなかにいるひとりの時間」があったんだと、この年になって気づきますよ。

そうだなぁ、もうちょっと相談に乗れるくらいの関係を築けていればよかったですね。

置かれた状況や人柄は違ったにしても、糸井さんの親父さんとぼくの親父に重なるところはある。たとえば、「きっと、誰も相談する相手もいないまま、なんでもひとりで解決しようとしていたんでしょうね」というところとか。幸いにして、ぼくの親父はまだ生きている。

だからこそ、もっといろんなことを聞いてみたり、話したりしたい。いつもより、ほんのちょっとだけ踏み込んでね。

でもなんだか、照れくさいもので。なかなか素直になれなかったり、ちょっとしたすれ違いからわかり合えなかったり。だから、一緒に寝転んで黙々とテレビを見るか、差し障りのないことばがふたりの間を飛び交いがちになってしまう。でも・・・

そうだなぁ、もうちょっと相談に乗れるくらいの関係を築けていればよかったですね。

糸井さんのひとりごとでつぶやくようなことばが、ぼくの背中を押してくれた。うーん、違うな。糸井さんが横に立っていて、肩に手がポンとおかれた気がした。

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少し前に、有料マガジンをはじめようかどうしようか悩んでいました。昨夜、パートナーといろいろと話をしているとき、「なんであなた、それやってないの?」とズバリ。ということで、そっとスタートを切ることにしました。

マガジンタイトルはこんなふうに、名付けました。

◉ プロデューサーの眼差し
→ https://note.mu/sueyoshihiroomi/m/m2dfd4c230a76

ご縁のある方とつながれる「場」をつくっていこうと思います。(バナーデザインは急遽だったので、パートナーがアイデアを出してせっせとつくってくれました。ありがたいなぁ)