感情の筋トレ。

地元島原から長崎空港へ向かうバスのなかで、ぼくはウズウズウズウズしている。今日のエッセイを書きたくてたまらないからだ。書けないときはさっぱりだが、エッセイの女神らしき人が現れて、いますぐ書きたくてしょうがなくなるいいエッセイのネタをもらう瞬間もある。しかし、ここまで途中停車した駅で書いて、車酔いが怖いのであきらめてパソコンを閉じよう。

YouTubeで懐メロをメドレー的に聴きながら時間を過ごし、バスは長崎空港に到着した。小腹が空いていたので、食べ物にうるさいパートナーが絶賛していた『地獄炊き』と呼ばれる五島うどんをツルツルといただいた。・・・こ、これは、美味い! 何十回も長崎空港を利用していながら、いままでこれを食べていなかったことを後悔したレベルだ、これは。(『つばき』というお店で、長崎空港に用事があった際はぜひ行ってみてほしい)

さて、話が脇道にそれたが、本道に戻ることにしよう。図らずも連日ご登場いただくことになり恐縮だが、ツイッターでこんなつぶやきに目がついた。

好きなものは好きだと、正直に口に出せることが大事なんですね。知的に背伸びをするのは悪いことじゃないけれど、自分の感情に正直になれないのはあまり良いことではないだろうと思います。年齢をかさねて、そういうことが僕にもだんだんわかってきたということです。(村上春樹03/5/31)

 

同時に、ほぼ日さんのこの企画のある対話の一部が思い出された。

(テレビショッピング「ジャパネットタカタ」の元社長である髙田明さんと糸井重里さんの対談企画『伝える仕事。』

まず「感じる」からはじまる。
「感じる」は「思う」になって、
「思う」は「考える」になり、
そして最後に
「考える」から「行動にする」に至る。

じつはこのことば、髙田さんのものでも糸井さんのものでもない。とある地方のイベントに参加されていた、若い学校の先生が持っていた「ほぼ日手帳」のページにメモされていたことばだそうだ。

感情。

ぼくのなかで、ふたつの内容が「感情」という糸で結ばれた。そして、ただただ単純に「感情って、やっぱり大事だよね! そうだよね、そうだよね!」と脳内なのか心のなかなのか、イナズマが走った気がした。

最近、「じぶんが好きなことはなにか?」、「じぶんがやりたいことはなにか?」わからずに、迷子になっている人が少なくないように思う。なにを隠そう、ぼくだってそのひとりだ。

「好き」とか「やりたい」って、まさに感情。「感情に正直になる力」なり「感じる力」といった、感情筋みたいなものが弱っていると、心が動かない。そうして、じぶん探しの旅の途中で迷子になっていくのだろうと思った。

思考ばっかりを鍛えさせられたり、空気を読みなさいと教育されたり、教育やテレビから常識を植え込まれたりのぼくたち。感情の筋トレの前に、感情のリハビリが必要かもしれないなぁ。

リハビリをちょっとずつ始めたぼくは、「いろんなところを旅するように暮らしたい」と感じはじめました。その「感じる」は「思う」になって、「思う」が「考える」となり、最近ではそれを実現するための「行動」を自然と取るようになっている自分のことが、誇らしかったりもするです。

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感情を扱うプロフェッショナルである細川一滴さんを先生として迎えてお届けしている『感情の学校』という企画って大事だよなぁと再認識。

感情の学校『心から好きな人に出会うには?』~第4限目〜