お鍋に入った三年番茶をぐつぐつに煮立たせて、茶漉しをしながらティーカップに注ぐ。「あちち」と、ちびりちびり飲みはじめる。体に沁みわたり温まる。目覚ましにも役に立つ。
日曜日の今日も、昨日に引き続いて、風邪でとこに伏している。何度目かに目覚めたのは、PM7:30を少し過ぎたころだろうか。
風邪を引いていると、多くのことができない。まだ若いぼくは、活動盛りのぼくは(体は思うように動かないくせに)、なんだか損をしたような気分になる。なんだか焦りにも似た気持ちが湧いてくる。
「これだけの時間があれば、もっとたくさんできたはずなのに」
そんな気持ちがあることは、否定しない。否定はしないのだけれど、「その心の声は、本当にほんとうなの?」という一抹の思いが頭をかすめた。
そうしてぼくは、Twitterにこんなことをつぶやいた。
(土曜日の夕方)
お風呂にお湯をはって、読みかけの『カラマーゾフの兄弟』を湯船に浸かりながら読む。じわっと流れる汗を拭いながら、いつもより丁寧に頭と体を洗う。
あがって支度を整えると、家のご近所にある行きつけのお蕎麦屋さん。お出汁を最後の一滴まですする土曜日の午後。 pic.twitter.com/oaGnsGqOax— 末吉 宏臣 (@hiroomisueyoshi) October 7, 2017
(日曜日の朝)
あと少しだけ残っている風邪のだるさを乗り越えて、意を決して布団から抜け出す。家中の歩き回って、窓という窓を開けていく。太陽の光が差し込み、新鮮な風が部屋のなかを洗浄してくれるようだ。飲み口が斜めになっている不思議な形のグラスに水を入れて喉を潤す。
さぁ、なにをしようかな。 pic.twitter.com/n4mk5DKXZn— 末吉 宏臣 (@hiroomisueyoshi) October 8, 2017
普段ならふつうにやっていること。ごくごく日常のワンシーン。それらに丁寧に目を向けてみると、こう思えてきたのだ。
「なーんだ、それなりに満ち足りてるじゃん」
多くのことが、大きなことができない時には、少ないことに、小さいことに目を向けてみるようにしたい。「あー、美しいな」とか「あー、豊かだな」とか、「あー、いいなぁ」としみじみ感じるなにかが見つかるんじゃないかと思うのだ。
(ほんとうは、いつだってそうできたなら、ずっともっと、しあわせになれるのかもしれないね。ぼくらは。)
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風邪で休んでいると、やらないといけないことではなく、やれたらいいなぁということにも目が向くようです。
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