「儲けたい下心」が出てしまう問題。

完全に行きつけのお店化している、目黒にお店を構えるとんかつ『かつ壱』さんでヒレカツを注文。

タレと塩をバランスよく交互にかけながら食べるのがたまらない。真っ白いご飯が進むこと進むこと。幸せなランチの時間を経て、降り続く雨の中、これまた行きつけのスタバへと移動。口直しにホットコーヒーを注文し、仕事を開始することにした。

いま、堀江貴文さんの『多動力』が好調に売れているが、ぼくもこの本に救われた人のひとりだろう。なにせ、たくさんのプロジェクトを同時並行で抱えていて、ときどき、頭のなかで仕事の糸がこんがらがってしまい、「あれれ、ほどけないぞ」と困ってしまうときがある。そんなじぶんはダメだと、じぶんでじぶんをぶっている時期があったので、『多動力』という考え方で、気持ちがずいぶんと楽になったところがあるからだ。

ということで、複数の仕事をスピーディーに済ませていく最中、とある案件で突如パソコンを叩く指が止まってしまった。それ以上前に進もうにも、足がぬかるみにとられてしまい、力を入れども入れども動かなくなってしまう感じだ。さて、沼のような案件はなにかというと、じぶんの「有料メルマガ」企画についてだ。

この構想は数ヶ月前から頭の片隅にはあった。「やろうかな」と身近なチームメンバーやら奥さんには、時折ポツリポツリと話していた。いや、つぶやいていた、くらいの表現のほうが正しいように思う。そんな調子だったから、いつの間にか月日は流れた。そしてつい先日、noteのエッセイにこんなコメントが書き込まれていたのだ。

末吉さんのコラムが好きです。モノ作りに頑張る人たちを、とても温かいまなざしで見守ってくださっているのが伝わってきて…読むたびに迷いが消えて、勇気が湧いてきます!今後も根気よくコツコツと載せていきたいと思いますので、ヨロシクお願い致します^ ^

コメントを読んで、嬉しいような恥ずかしいような気分になった。なぜなら、じぶんが文章を書くときに、無意識に想っている(だろう)ことを見透かされたような気がしたからだ。「あなた、●●ちゃんのこと、好きでしょう!」と、隠していたことを言い当てられたような気分かな、たとえるならば。

その瞬間に、また「有料メルマガ」企画が頭をもたげてきたのだ。もちろん、この毎日のエッセイは続けていく。だけど、書く内容やらつながりの親密さなどを変えた媒体(メディア)を作り、育てたいと思いはじめたというわけだ。(ちなみにやるなら、もう少しはっきりと編集者やプロデューサーとしての立ち位置を明確にしたものにしようと構想中)

ということで最初は意気揚々と、「有料メルマガ」企画についての構想や紹介文を書きはじめたのだが、パッタリ手が止まってしまった。最後は底なし沼に足をとらわれたように一歩も進めなくなってしまったのだ。

理由はたぶん、わかっている。いくつかの要素が絡んでいると思うが、これも大きな要因になっているはずだ。

「金勘定」の問題だ。

要は、有料メルマガを書く労力の見返りとなる報酬はペイするのかどうか、ということだ。あー、生々しい。こんなこと、好き好んで書きたいわけではないが、このテーマになると指が進むこと進むこと。そんなこんなで、こうして書いているのだ。

やるからにはビジネスとして考える必要はある。稼ぎたいという下心的な色気が出てしまうのもしょうがない。しかし、それが強くなりすぎると、読み手にとってもいいものにならない気がするし、こちらが書くのもしんどくなると思う。そうなると、「なんだかなぁ…」という気分になってしまう。

と、そんなことをつらつらと書いていると、糸井重里さんのこんなことばを思い出した。

「昔はよかった」というように利他性は資本主義と対立させて考えられがちですが、そうではなくて、混じっているのだと思います。つまり、「自分がどれだけ利益を得られるか」を考えることを休ませる知性が求められている。知性をぐるぐる回転させることで、知性を休ませるというか。

(中略)

キーワードとして「親切」があると思います。もしかしたら自分と利害が相反することかもしれないけれど、それをした方が、この場、あるいはこの先に対していい影響を与えるという判断をする。そのことが自分にも快感になる。それが「親切」です。けっこう高度な知性だと思うんですよ。

「情けは人のためならず」というのはすごくクールな言葉だと思うんですが、翻訳としては「情けは自分のためにもなるしね」と言えばいいと思う。ただし、同じ言葉を「情けは人のためではなく、自分のためなんだ」と言い換えて攻めてくるものに負けてしまう可能性はもちろんあります。そこで負けないための何かを持っている必要があると思いますね。(『儲ける知性を休ませ、親切を――糸井重里に資本主義を聞く』より引用)

「有料メルマガ」に関しては、もう少しじっくりと寝かせようと思います。でも遠くない未来、スタートさせることでしょう。じぶんのなかでのいろいろに整理がついたときに、きっと。

然るべき刻を待つことにしよう。

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有料メルマガをスタートすることになったとしたら、なにかリクエストがあれば教えてください。数割はオンラインサロン的な双方向のやり取りも組み込んだものにできたらなと考えているのでお気軽にぜひ。

『多動力』などヒット作品を多数生み出す編集者である箕輪厚介さんとインターネットラジオを配信しています。今回で第3回目になりました。

第3回 4分で満員御礼になってしまうサロン作りの極意